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薬理学研究室について

室長
助川 鶴平 (副院長)

最近のトピック

平成23年6月25日(土)、沼津中央病院にて、学術講演会(大塚製薬主催)が開催され、助川鶴平薬理学研究室長(副院長)が、講演しました。

【講演内容】
抗精神病薬使用の適正化について-減量単純化の試み-

当薬理学研究室は、精神疾患に対する以下の臨床研究を行っています。

1.統合失調症者に対する薬物療法の適正化

これが当研究室の最重要課題です。統合失調症の薬物療法では、陽性症状・陰性症状・認知障害に対して従来薬と同等の効果があり、副作用の少ない非定型抗精神病薬が世界の治療薬の主流になりつつありますが、日本ではこの普及が遅れています。

これは日本では世界に類のない抗精神病薬の多剤併用大量投与が行われてきたためであると考えられます。従来薬に非定型抗精神病薬を上乗せしても殆ど何の改善も見られません。副作用が増えるだけです。
従って、多剤併用大量投与をやめなければなりませんが、急激な減量は再発と離脱症状の出現をもたらすことが多く、多くの精神科医は多剤併用大量投与の改善は困難であると感じています。

また、最近では非定型抗精神病薬の多剤併用大量投与も多くなってきています。このため、日本の多くの統合失調症患者は非定型抗精神病薬の恩恵を受けることが出来ません。

当研究室では厚生労働省研究班の一員として多剤併用大量投与の改善、すなわち、抗精神病薬の減量・単純化の研究に取り組んでいます。

この研究の実績
助川鶴平、高田耕吉、坂本泉、土井清、林芳成、池成孝昭、岩田康裕、松島嘉彦、柏木徹。統合失調症における多剤投与の現状。精神科治療学18:779-786, 2003.

助川鶴平、坂本宏、金沢耕介、稲垣中、村杉謙次、吉住昭、大島巌、塚田和美、浦田重治郎。抗精神病薬の減量化単純化研究の提案 -多剤大量投与問題の解決 に向けて-。厚生労働省精神・神経委託費「統合失調症の治療及びリハビリテーションのガイドライン作成とその実証的研究」総括研究報告書, p37-p43, 2004.

助川鶴平、高田耕吉、坂本泉、林芳成、池成孝昭、岩田康裕、土井清、松島嘉彦、柏木徹。慢性統合失調症患者に対する抗精神病薬多剤併用投与の単純化の試 み.厚生労働省精神・神経委託費「統合失調症の治療及びリハビリテーションのガイドライン作成とその実証的研究」総括研究報告書, p83-p89, 2004.

助川鶴平。多剤大量投与の減量単純化の方法。臨床精神薬理 8: 137-144, 2005.

助川鶴平。抗精神病薬の減量・単純化。Review 54:20-23, 2005

助川鶴平.Q58 多剤大量処方になっている場合に減量・単純化する具体的なテクニックを教えて下さい.藤井康男編、統合失調症の薬物療法 100のQ&A, p. 189-191, 星和書店, 東京, 2008

助川鶴平、伊藤寿彦、長谷川恵、他.抗精神病薬の減量単純化.鳥取臨床科学研究会誌 1(1): p. 169-181, 2008

2.統合失調症者の予後研究(通称JPSS-2)

新たに発症した統合失調症患者に最善と考えられる薬物療法・心理教育を行い、5年間に渡りその予後を追跡する研究です。これまでの新規発症統合失調症患者 に対する予後研究では治療法に対する制限がなく、このことが統合失調症者の予後決定因子を同定する際に大きな障害となっていました。一定の枠のある治療法 を行うことで、統合失調症患者の予後を決定する因子が今までの研究と比較してより明らかになる可能性があります。この研究も厚生労働省の研究班の一員とし て行われているものですが、十数施設が参加する中で全登録患者の約25%が当施設で登録した患者であり、JPSS-2における当研究室の役割は重大である と自負しています。

3.定期的薬剤調査

単なる投与薬の調査ですがこれにより薬剤の副作用などを分析することが出来ます。特に抗精神病薬の多剤併用の弊害などは薬剤調査の分析対象として適当なものです。

この研究の実績
助川鶴平、松島嘉彦、坂本泉、土井清、高田耕吉、林芳成、池成孝昭、岩田康裕、柏木徹.精神科入院患者における下剤大量投与の原因.臨床精神薬理, 8: 329-336, 2005.

助川鶴平、岩田康裕、柏木徹.精神科における便秘への対応.日比紀文、吉岡政洋 編
便秘の薬物療法, p85-95, 協和企画, 東京, 2007

助川鶴平、高田耕吉、林芳成、池成孝昭、坂本泉、土井清、柏木徹.
統合失調症入院患者における開放処遇と閉鎖処遇での投与薬剤の特徴.
病院・地域精神医学, 50(2): 180-184,2008

助川鶴平.Q58 抗精神病薬による便秘やイレウスは、どのようなときに生じやすいのでしょうか?またその対処法を教えて下さい.藤井康男編、統合失調症の薬物療法 100のQ&A,p.298-300,星和書店,東京,2008

助川鶴平、土井清、林芳成、池成孝昭、松島嘉彦、坂本泉、高田耕吉、柏木徹、稲垣中、塚田和美。
抗精神病薬多剤併用による統合失調症患者生命予後への影響
臨床精神薬理、12:1825-1832,2009
   <この論文は「臨床精神薬理」の2001年最優秀論文賞を受賞しました。>